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UPDATE:2005/11/12

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「相薬物相互作用コンサルティング」コーナー メールマガジンサンプル(1)

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                            Vol.8
      医┃師┃の┃た┃め┃の┃薬┃の┃時┃間┃ 
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医師、歯科医師のみなさま、こんばんは。

「ルボックス錠、デプロメール錠」服用による出血傾向に注意!

この度、選択的セロトニン取り込み阻害剤 (SSRI) であるルボックス錠、デプロメー
ル錠<マレイン酸フルボキサミン>の医療用添付文書に、出血傾向に関する注意が追
記されました。SSRI 投与による出血リスクの増大は以前より報告があり、海外では
既に添付文書に記載されていました。出血傾向の機序としては、本剤によって、セロ
トニンの取り込みが阻害され、血小板中のセロトニンが減少することで血小板凝集が
阻害されるため、と考えられています。したがって、出血性疾患の既往歴又は出血性
素因のある患者や高齢者への投与、ならびに出血傾向が増強する薬剤との併用時には、
十分な注意が必要です。実際、各種 SSRI と非ステロイド性消炎鎮痛剤(NSAID)の
併用で上部消化管出血のリスクが高まるとの報告があり、本邦においても フルボキ
サミンと NSAID との併用中に肛門出血を来した症例が報告されています。
ルボックス錠、デプロメール錠を投与中の患者に対しては、出血傾向が増強する薬剤
(非定型抗精神病薬、フェノチアジン系薬剤、三環系抗うつ薬、NSAID、ワルファリ
ン等)服用の有無をチェックするとともに、出血傾向(紫斑、胃腸出血、斑状出血な
どの異常出血)や貧血が認められていないか、注意深くモニターする必要があるでしょ
う。

さて、今回は「薬物相互作用コンサルティング」コーナーの事例から、

《同時服用ではないテルネリンとルボックスも併用は避けた方がよいか?》

を紹介します。
今後の診療にお役立ていただければ幸いです。
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┃「薬物相互作用コンサルティング」コーナー(1) ┃
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《同時服用ではないテルネリンとルボックスも併用は避けた方がよいか?》

<処方の具体的な内容は?>
40 歳代の男性

<処方>
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ノルバスク錠(5 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
ブロプレス錠(8 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
テルネリン錠(1 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
ルボックス錠(25 mg) 1 錠 1 日 1 回 夕食後 28 日分
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<何が起こりましたか?、何が疑問ですか?>
・患者は、同時服用ではないものの(テルネリンは朝食後、ルボックスは夕食後)両
薬剤を併用していた。2004 年 7 月に、ルボックス(一般名:マレイン酸フルボキサ
ミン)とテルネリン(一般名:塩酸チザニジン)が併用禁忌となったので、直ちに、
テルネリンを中止した。
・しかし、当該患者の用法用量と、相互作用が報告された臨床試験 (Granfors et al.,
2004) の用法用量とでは、以下のような相違点がある事に気がついた。

1) 両薬剤の併用でチザニジンの血中濃度(AUC)が平均 33 倍程度上昇すると述べら
れていたが、その論文では、フルボキサミン服用 1 時間後にチザニジンを服用してい
た。しかし、本例の患者では、「ルボックスを20時頃服用し、テルネリンを朝8時頃服
用する」と投薬時に述べていたことから、同時併用ではなく約12時間投与間隔があいて
いる。
2) また、上記論文でのマレイン酸フルボキサミンの服用量は100 mgであったが、本事
例での服用量は 25 mg であった。以上の2点から、当該患者においても、果たして論
文に示されているような薬物相互作用が生じ得るのか、疑問に思えてきた。正しくはど
のように対処すれば良かったのか教えて頂きたい。また、テルネリンの代替薬としては
どのようなものが考えられるか。

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