東京大学大学院薬学系研究科 医薬品情報学講座 医薬品ライフタイムマネージメントサービス 医師のための薬の時間

UPDATE:2005/11/14

東京大学
HOME 医薬品情報学講座
 
薬物相互作用コンサルティング サンプル
 
同時服用ではないテルネリンとルボックスも併用は避けた方がよいか?
質問編
1. 処方の具体的内容は?
  40 歳代の男性
<処方1>

ノルバスク錠(5 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
ブロプレス錠(8 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
テルネリン錠(1 mg) 1 錠 1 日 1 回 朝食後 28 日分
ルボックス錠(25 mg) 1 錠 1 日 1 回 夕食後 28 日分

2. 何が起こりましたか?、何が疑問ですか?
  患者は、同時服用ではないものの(テルネリンは朝食後、ルボックスは夕食後)両薬剤を併用していた。2004 年 7 月に、ルボックス(一般名:マレイン酸フルボキサミン)とテルネリン(一般名:塩酸チザニジン)が併用禁忌となったので、直ちに、テルネリンを中止した。
しかし、当該患者の用法用量と、相互作用が報告された臨床試験 [文献1)] の用法用量とでは、以下のような相違点がある事に気がついた。
  1. 両薬剤の併用でチザニジンの血中濃度(AUC)が平均 33 倍程度上昇すると述べられていたが、その論文では、フルボキサミン服用 1 時間後にチザニジンを服用していた()。
    しかし、本例の患者では、「ルボックスを20時頃服用し、テルネリンを朝8時頃服用する」と投薬時に述べていたことから、同時併用ではなく約12時間投与間隔があいている。
  2. また、上記論文でのマレイン酸フルボキサミンの服用量は100 mgであったが、本事例での服用量は 25 mg であった。
以上の2点から、当該患者においても、果たして論文に示されているような薬物相互作用が生じ得るのか、疑問に思えてきた。正しくはどのように対処すれば良かったのか教えて頂きたい。また、テルネリンの代替薬としてはどのようなものが考えられるか。
 
文献
1) Granfors MT et al., Clin Pharmacol Ther. 75: 331-41, (2004)

注 意
  • このページに掲載された事例はサンプルであり、その情報は配信された時点のものです。
  • ここに掲載された内容を利用した結果、直接または間接的に生じた一切の問題について、当講座ではいかなる責任も負わないものとします。

東京大学 東京大学 東京大学大学院薬学系研究科 進学ガイド i-Diss
pagetop
東京大学大学院薬学系研究科
医薬品情報学講座
(第一研究室)〒113-0033 東京都文京区本郷 3-14-15 美工本郷第二ビル
(第二研究室)〒113-0033 東京都文京区本郷 7-3-1