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UPDATE:2005/11/12

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「ヒヤリとしたハットした」コーナー メールマガジンサンプル(1)
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                            Vol.1
      医┃師┃の┃た┃め┃の┃薬┃の┃時┃間┃ 
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医師、歯科医師のみなさま、こんばんは。

今売れ筋の健康食品「コエンザイム Q 10」の安全性は? 気になりますね!
この度、厚労省からその評価に関する中間報告がでました!

コエンザイム Q10 <ユビデカレノン>については、平成 15 年に厚労省から(財)
日本健康・栄養食品協会に対し、注意喚起表示を含む規格基準の設定が依頼されて
いましたが、8 月 22 日に厚労省からその中間報告が出されました。その結果当該
協会では、1 日摂取目安量として 300 mg までは安全との調査結果が得られたこと
から、 1 日摂取目安量の上限値を 300 mg 以下と提案しました。ユビデカレノンは、
医療用医薬品としてもノイキノン(他に後発品多数あり)などの商品名で市販され
ており、「基礎治療施行中の軽度、中等度のうっ血性心不全症状」に適応がありま
す。医薬品としての 1 日量は 30 mg となっています。一方、「いわゆる健康食品」
としては、 1 日推奨量が 60 mg の製品が最も多く流通しており、 30 mg を超える
製品が 80% 以上を占めているほか、 300 mgの製品も流通しています。また、米国
においては、サプリメントとして1日推奨量が 100 mgの製品が最も多く流通してお
り、多いものでは 1,200 mg の製品も流通しています(平成 16 年 11 月(財) 日
本健康・栄養食品協会調べ)。厚労省では、今後、食品安全委員会の意見を聴いた
上で、関係業界等に評価結果を通知するとのことですので、今後の動向を見守りた
いものです。また、現時点では、コエンザイム Q10 によることが明らかな健康被害
は確認されていませんが、コエンザイム Q10 の主な副作用としては、胃部不快感、
食欲減退、吐気、下痢などの消化器症状が報告されています。コエンザイム Q 10 
に関して現在までに得られている情報は国立健康・栄養研究所の「健康食品の安全
性・有効性情報」に掲載されていますので参考にしてください。
http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail.php?no=40&mode=normal

さて、今回は「ヒヤリとしたハットした」コーナーの事例から、

《イトリゾールとハルシオンの相互作用は「時間をずらせば問題ない」と考えてし
まった》

を紹介します。
今後の診療にお役立ていただければ幸いです。
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┃「ヒヤリとしたハットした」コーナー (1)     ┃
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《イトリゾールとハルシオンの相互作用は「時間をずらせば問題ない」と考えてし
まった》

<処方の具体的な内容は?>
40 歳代 男性
<処方せん 1>(当該内科クリニック)(1 月 17 日)
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ハルシオン錠(0.25 mg)     1 錠  1 日 1 回 就寝前服用
                             7 日分
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<処方せん 2>(A 皮膚科医院)(1 月 10 日)
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イトリゾールカプセル(50 mg)  2 Cap  1 日 1 回 朝食直後服用
                             7 日分
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(注: 1 月 10 日の処方なので、実際の服用は 1 月 11 日朝からである) 

<何が起こりましたか?>
・ 内科クリニックに、不眠の訴えで受診した患者にハルシオン<トリアゾラム>を
処方した。患者が皮膚科にかかっていたことは承知していたので、併用薬を尋ねると、
「今朝まで皮膚科からもらったイトリゾールカプセルという薬を飲んでいました」と
の返答だった。内科医は「イトリゾール<イトラコナゾール>とハルシオンの同時服
用は禁忌」であることはよく認識していたが、この場合イトリゾールの服用は今朝ま
でであり、一方ハルシオンは、今晩からの服用なので、半日ほど間隔があいているた
め問題ないと考え、そのまま処方した。

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